1751LAB 企画開発研究所

PROJECT

1×1=∞ 伝統工芸から先端技術、原料から製品まで、LABとのコラボによる化学反応を目指した企画に取り組んでいます。人と人との想いもコラボしたスペシャルプロジェクトです。

西陣織

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 日本の伝統工芸の代表とも言える着物。明治維新以降に洋装の文化が広がり始め、日常的に着る機会が少なくなった今でも、お宮参り、七五三、成人式、結婚式など、成長の証や人生の節目を華やかに彩ってくれるものとして着物は重宝されています。西陣織は京都地方の着物に使用される伝統織物。絵画のような鮮やかな帯と、帯の華やかさを邪魔しないシンプルな着物。古くからの技術を守る職人達が繊細なシルクの糸を一本一本丁寧に織ることで作り上げられています。

 西陣という名前がついたのは室町時代、1467年に起こった応仁の乱の後です。終戦後、各地に逃げていた織職人達が京都に戻った時の土地が山名宗全率いる西軍の陣地が置かれていたあたりで、『西陣』と呼ばれていたことが由来です。特に明確な指定はありませんが、現在では織物の町として栄えていた京都北西部の一帯を『西陣』と呼んでいます。名前がついたのは室町時代ですが、元となる織技術は古墳時代の渡来人から伝えられており、1500年以上も受け継がれてきたとても歴史ある技術だといえます。

日本の華を引き立たせる匠の業

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 西陣織は日本の代表的な絹織物の一つであり、その最大の特徴は先染した糸を使用すること。シルクは一本の長い繊維部のフィブロインと、複数のフィブロインを束ねるのり剤の役目を果たすセリシンで成り立っており、セリシンは染色過程で解けて落ちてしまいます。織り上げた後に染色をするとセリシンが解けた部分が隙間となってしまいますが、西陣織ではこのセリシンを織る前に落とすため、隙間のない高密な生地を作ることが出来ます。

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 西陣織の技術が光るのは高密の生地を織る時だけではありません。シンプルな着物地用の向こうが透けて見えるほど薄い生地を作る時にも技術の高さが現れます。太さにムラが出ないように丁寧に紡がれた絹糸を、均一の透け感になるように織り上げる。高密な生地から薄手の生地まで丁寧に織り上げるからこそ、完成した時に高級感が生まれるのです。
 西陣織と聞けば多くの方が華やかな着物の帯を思い浮かべるでしょう。あの華やかさを生み出しているのが模様を作る糸です。昔懐かしい佇まいの機屋に行けば、光沢の美しい色とりどりのシルク糸が壁一面に並べられているのを見ることが出来ます。これらの糸は水を知り尽くした職人達の手によって一つ一つ染められたものです。色鉛筆を選ぶように、絵のパーツに相応しい糸を選定し、手のひらサイズの小さな杼(ひ)に巻き取る。当然、使用する色数は必要になります。

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更に生地の地となる横糸を大きめの杼(ひ)に巻き取り、織機にセット。後は指示書のとおりに織っていくのですが、これがまた神経の使う細かな作業なのです。小さな杼(ひ)を、例えば花の柄なら花の幅分だけ狭い範囲で行き来させながら、定期的に地となる横糸を幅の端から端まで通す。刺繍ではないので、地を織りながら柄を作っていきます。計算しつくされた職人技、一日にたった4,5メートルしか織り進められないという点を見ても、いかに繊細な作業かが想像出来るはずです。

激動の時代を乗り越えた最新技術

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 今では着物を着ることも少なくなり、西陣織という伝統工芸品は暮らしに関わりのないものと思われがちですが、実は今でもネクタイやショール、和装小物や神社のお守りとして多く使用されています。西陣織として栄えた室町時代から現在まで、都が京都から東京に移ったり、京都の大火事で織機が燃えてしまったり、和装が洋装に変わったり、西陣の周りでは大きな変化がありました。その中でも伝統が廃れることなく今日まで続いた理由は最新技術を取り入れたことにあるでしょう。その最新技術というのがジャガード織機です。織機には大きく分けてドビー織機とジャガード織機があります。ドビー織機は縦糸のある決まった周期でグループ化し、グループで上げ下げの指示を出すため横糸を通すパターンに上限があるのに対して、ジャガード織機は紋紙(もんがみ)という穴の開いた紙で縦糸一本一本に上げ下げの指示を出すことが出来、横糸を通すパターンを無数に設定出来ます。つまり、大柄に対応出来るということです。明治維新、近代化が進み、量産の技術が一気に日本に進んだ時代、西陣の織職人達は遅れを取るまいとフランスに留学しました。花や鳥といったモチーフの躍る西陣織を量産化するためには、このジャガード織機が必要不可欠だったのです。そして、いち早くジャガ

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ード織機を導入することで大いなる成功を収め、日本の伝統織物の最高峰を占めるに至りました。
 しかし、実際に西陣織の産地を訪れてみると手織りの機屋はしばしば見られます。機械では使用出来る糸の色数に制限を受けてしまうため、色鮮やかさを求められる西陣織においては機械では間に合わないことがあるのです。機械で出来ないことは手で行う、細やかな職人魂が西陣織の絶対的な美しさを維持しているといえるでしょう。

伝統を守る心、変化し続ける時代を生き抜くための挑戦

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 2016年、1751LABでは日本の伝統工芸プロジェクトの一環として「帯に代表される西陣織の技術を現代の衣料に活かせないか」という趣旨で西陣織とのコラボレーションをしました。西陣織は本来絹織物であり、シルク100%が当たり前でしたが、時代が変化するにつれて西陣織も現代風にアレンジされるようになりました。17SS展示会向けに作った生地には綿地のものから、見る角度によって色が変わるモルフォテックスや銀糸を使用したもの、絡みのボーダー生地まであります。一方で伝統的な絹織物を守ろうという取り組みも忘れてはいけません。現在では西陣織工業組合が設立され、その組合に所属した機屋さんで作成された帯にはメガネ証紙と呼ばれるラベルを貼ったり、組合指定のタグをつけたりすることが出来、現代風にアレンジされたものとの差別化がなされています。
 現在でも西陣に行けば西陣織の伝統工芸品を展示してある場所があります。少しでも西陣織に興味を持たれた方、古き良き時代の空気の薫る京都まで一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか。